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927 :ヒナヒナ:2012/04/25(水) 20 09 08 ○夢から現へ イギリスの場合 自国の地盤を破壊した戦争の後、あらゆる公的職から引退したハリファックスは、 自身への戒めのために書いている発表する予定の無い自叙伝の原稿を前にその報を聞いた。 自宅の書斎で受話器を置きながら、独りつぶやく。 「そうか。彼らは表に出る選択をしたのか。しかし、未だ発足したばかりの円卓らには厳しい相手だ。」 そして、少し考えた後、新しい原稿用紙を取り出し書き付けた。 彼の死後10年以上経ってから発表されたハリファックス自叙伝は こんな書き出しから始まっている。 “願わくは、私が大英帝国で最劣な首相であることを。 私に続く者達は夢から覚めた東方の覇者を相手にしなくてはならないのだから” ドイツの場合 走ってきた部下から総統は夢幻会の名前を聞き、顔を顰めた。 「ふん、あの黄色人種どもの首魁がとうとう出てきたか。どう動くか目を離すな。」 ギロリと睨んで、連絡員を退室させると、 「これで日本の妙な独断も減るだろう。これがどう転ぶかだな。」 ヒトラーはデスクに座りなおすと、自分にも組織立った政策スタッフが必要だろうかと考え始めた。 そのころ、海軍総司令部の司令室では。 「ふふふ、そうさ、相手は首相かつ一大政治組織のトップだ。 だから、元帥をトレードしようとなんて言われたって気にすることは無いのだ。ふふふ……」 その後、彼の従卒が暗い部屋でぶつぶつ呟いている上官を見つけて黙って部屋を後にした。 ソ連の場合 スターリンの首を売ることでなんとか粛清を切り抜けたベリヤが呟く。 「とうとう彼らが表舞台に出てきたか。理想の女性ついての思想はすばらしかったが 敵としては手ごわい。」 ベリヤとともに逃げることに成功したスターリン政権下の将校や中枢メンバーが頷く。 「同志ベリヤ。何にせよ。国力の回復が先決です。」 「そうだな。幸いにも“裏切り者”スターリンがすべての罪を持っていってくれた。 反スターリンの新政権下であれば、日本との交易もやりやすくなる。 力をつけてソビエトを再興する。日独の謀略には注意しろ。」 彼らにとっては指導者とは担ぎ上げる御輿なのだ。彼らは生き残るための活動を始めた 「今さら、社会主義を捨てることはできない。帝政ロシアの復活だけは阻止せよ。」 928 :ヒナヒナ:2012/04/25(水) 20 09 39 フィンランドの場合 「そうか。」 マンネルヘイム元帥はその報を聞いて短く嘆息した。 今までの気苦労と幾ばくかの納得を表したようなため息だった。 政治家として国際社会の現実も知る彼は、 自国が一番の友邦といわれている極東の小さくも大きな島国が、 北欧の一国に過ぎない自国に、過大な援助を行ったことが異常なのは分かっていた。 当時、感じた漠然とした感覚。今なら、彼らの意思が働いていたためと分かる。 マンネルヘイム元帥は、自国の命運を助けた歴史の気まぐれと、 日本の利益のためとはいえ、自国の益に絶大なる影響を及ぼした友邦に感謝をし、 すぐさま、国家運営のための仕事に戻った。 カルフォルニアの場合 大統領政務室でハーストは、頷いた。 「とうとうあの組織が表立って活動を行うことになったのか。……どう思うかねグルー外相。」 「大恐慌や前の大戦の舵とりを行ったのは彼らですな。外交だけでは切り崩すのは難しいでしょう。」 「我々は再び覇権国家となるためにも、日本から秀でているところを すべて吸収しつくさなければならない。あの組織について改めて分析をかけよう。」 不屈の意思を持つといわれたアメリカ人。 その名は消えてもその精神までは失わなかった。 新たな野望を胸に、まずは北米での覇権をかけて動き出していた。 日本が夢から覚めたことによって、さらに世界各国の活動は史実から外れだした。 すでに、未来知識に基づいた予測は不可能となりつつあり、 先の見えない混沌だけが未来に広がっていた。 村中少将 「ふむ、夢幻会の方々でも、さすがに都内で無茶はできませんか。」 コートに同色の帽子を被っている男が小さな神社のお堂の中から、外をのぞいていた。 夢幻会による賢人政治を理想として、あらゆる組織、人脈を飴と鞭で動かし、 夢幻会を、表舞台に引き釣り出すことに成功した村中少将は 現在、とある神社に身を隠していた。 とうとう夢幻会の情報をリークしていたのがばれ、追われていたのだ。 存在が表向きに発表され、あらゆる目線が夢幻会に注がれているからこそ、 夢幻会も無茶ができず、村中もなんとか逃亡に成功していた。 「いかに夢幻会の方々といえど、まだ捕まる訳にはいきませんね。今はまだ民主主義の勢力が強すぎる。ここまで来て愚かな民衆に政治を取られるわけには行かない。私が退場するにしても夢幻会の地位を磐石にしてから……」 村中はぶつぶつと呟いていると、石段を登って境内に踏み入れた人影がある。 玉砂利を踏む音に、村中はさっと戸口に身を引き寄せ、隠れる。 逃げるべきかやり過ごすべきか。 そんな考えもつかの間、村中は自ら戸口の影から姿を現し、縁起くさい所作で挨拶をする。 「これはこれは、山本閣下。こんなところにお出でとは貴方も神頼みですかな。」 「なに、君を迎えにね。嶋田らは信用しているが、組織としての夢幻会には一定の枷が必要だ。 その力を使うかどうかはともかく、持っておくべきだからな。」 「(確かに一定の理解をもった反対勢力があった方が夢幻会の活動が目立つか?) ふむ、私は一応陸軍ですが。」 「陸海の垣根を取り払おうとしていたのは君ら夢幻会だったのではないかね?」 「……そうですね、しばらくご厄介になります。」 歴史がどう転ぶかもう誰にも分からない。 (了)
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ふぁみれすいこうよ【登録タグ 2017年 NexTone管理曲 ふ サイゼP 初音ミク 曲 殿堂入り 音街ウナ】 作詞:カルロス袴田(サイゼP) 作曲:カルロス袴田(サイゼP) 編曲:カルロス袴田(サイゼP) 唄:初音ミク、音街ウナ 曲紹介 カルロス袴田氏の14作目。 歌詞 (動画より書き起こし) 1! 2っ わんっ ファミレスいこうよ!! なんで~? ファミレスいこ~よ!! マジで? ファミレスいって ちょっとだけ 元気出そ? オシャレもプライドも おっぺけぺーのぺーだ!! そこまで言うなら なんだか キニナル(/・ω・)/でしょでしょ? ハイ!(はい!) 発生源は例のストレッサー 圧倒的スピードで進撃中ッ…! このままじゃヤバい! ワレワレの未来 巨人とゴ○ラのコラボ並み パッターンパターン 真っ青な使徒(シット) 心の中枢(メンタルドグマ)にガシンガシン ガッシーン!!! 逃げたくないの! 逃げられないの! ホータイまみれで生存中! 「いのちだいじに」って だれかが言った キミがキミのパーティの 勇者だ!!! わかってんの!? で~もさ(´・ω・`) やってもやっても足りない 経☆験☆値 レベルアップまで あと何回???? たまには逃げるのも 戦略さ…☆ (せえええええええんりゃくさーーーー!!!!) DAKARA☆ ファミレスいこうよ!! おっけー☆ ファミレスいこうよぉ↑↑ 乗ったァ! ストレスマッハジェットで 飛んでっちゃえば!(飛んでっちゃエヴァ) ねんりょーは切らしても ドリンクバーが あー るー さー!! だれかに合わせないで 飲み物えらぶよッ DAKARA☆ ファミレスいこうよ!! さいこ~☆ ファミレスいこ~よぉ↑↑ 無敵ッ('ω')ノ ファミレスいって ちょっとだけ い~感じ!(うぃ~感じィ!) メニューを ひらいたら ワンダーランドぉ! だ~~い!!! ひとりも家族づれも niconico でしょでしょ? Hoiッ!!!(ほい!) オーマイゴッド 今週のハンター 休載中でテンション下がっちゃった ちまなこベイベー!いいことハンター! さがせどさがせど どツボにゴール! やっべーなんかめんどっちFC やる が き お願いだから! まだ負けないで! ライフは(おそらく)残ってる! ガンガンいこうぜ!って 誰かが言った。 暗い部屋の奥に 宝箱!! のこってんの!? ど~にか えっちらおっちら 生きてる 状☆態☆で たまに! エンカウント! してみりゃほら! モンスター図鑑も うまるのさ…☆ (うまああああああああるのさぁぁぁあああ!!!!) DAKARA☆ ファミレスいこうよ!! oh yeah ファミレスいこうよ!!!!! アッフゥン マジレスばっかじゃ CHOT!(ちょっと!) つまんないの!! 深夜のテンションで くーだらない話を!! 常識キャストオフで 今夜は無敵さ (*´з`) (しー よー おー よっ!!) ファミレスいこうよ!! なんか… ファミレスいこうよ!!!!! 最高☆ ファミレスいって ちょっとだけ ぜいたくしよ! サラダと ステーキに アイスクリームぅ!! だぁぁぁーー!! カロリーも 財布も今夜は 仲良し でしょでしょ? HEY!!(へい!) 人生はパフェだって 僕ら決めた(*´з`) 甘い!すっぱい! いろいろまざっても ごちそうだー!! そーして! ドッキリすっきりだらけの 伝☆説☆に… まずは! お城の外へとほら! ひろがる世界が 見えるハズ( ゚Д゚)(見え~~~~!!!!るはずっっ!!) ファミレスいこうよ!! なんか… ファミレスいこぉよ!! ハッピー☆ ファミレスいって ちょっとだけ 元気だそ。(元気だそ!) おいしいもの食べたら… どんな日でも一等賞!!!! いまこそ MAX最強 しあわせ こんにちわ。 ファミレスいこうよ!! りょーかい☆ ファミレスいこぉ~よぉ↑↑ おっけー('ω') ファミレスいって 今日から 元気出そう!(提案)(元気だそっ!) きのうまで つかれた日々に 乾杯を!!!!! 今夜は ビールも コーラも ルイボスティーも なかよし! ファミレスいこうよ!! ぜったい ファミレスいこぉぉよぉ↑↑ ハッピー(*´з`) こんがらがった 悩みが あってもね! スパゲッティに からめて ひとくちで どーーーーん!!!! そのあと アイスクリームもあるから アップルパイとかあるから!!! 最後はきっとわらえるよ。(さいごはきっとわらえるよ!!) でしょでしょ。(でしょでしょ!!) ハイ!(はい!) せんきゅ! コメント 新曲来たーッ★なんか曲名がすごい -- 名無しさん (2017-01-31 23 43 50) 早すぎ‼ -- 名無しさん (2017-02-01 00 28 12) 今回の曲も,めちゃ元気でた‼ -- SOÄ (2017-02-01 02 50 55) やっぱりミクと自演ズ最高 -- 好きな事だけがいいです (2017-02-06 20 32 06) ぼくディメと比べるとすごく会話が早くなってますね、だがそれがいい。相変わらず励まされてます。 -- ガンガンいこうぜ (2017-02-23 17 40 22) 一瞬「ガ○トいこうよ」に見えたのである -- 名無しさん (2017-02-28 01 10 49) とりあえず動画から書き起こした方にGJ -- 名無しさん (2018-04-15 11 53 29) どの曲でも絶対「でしょでしょ」入れてくれるの元気出る -- 名無しさん (2022-06-11 02 31 00) サイゼに行きたくなる曲 -- うなねぎ (2023-05-23 23 07 21) 名前 コメント
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皆さん。 「家主」でございます。 今晩は、わざわざ眠る時間を合わせていただきありがとうございます。本日集まっていただいたのは他でもありません。転換期を迎えるリリジョン101のこれからのことをお話しします。 皆さんは名呑町の「外」に行ったことはおありでしょうか。ええ、あまりないでしょう。しかしそれは存外幸運なことなのです。 「外」は怖い場所です。犯罪が多発し、信仰もありません。もはや救われない汚れた土地です。皆さんは絶対に行かないでください。私を放って「外」へ行ったら、私、皆さんのせいで発狂します。 ここは交通の便も少ない、小さな大学も人が集まらない。老人ばかりが増えつづけ、まるで血液循環が故障を起こしたようです。しかしこの澱んで忘れ去られた町が、実は最も浄化された土地だったのです。 名呑町は山から、池から、内海から、雨多ノ島から出てきた霊的な気の流れが安定しやすい構造を持っているのです。道理で皆さんが幸せそうに暮らしているわけです。 この理想的な構造は、神を降ろしました。名呑町に点在するゑびす像――「それ」「星の落とし子」の似姿です。リリジョン101のシンボルでもありますね。 この神のいるという上位の世界に、私はリリジョン101を作ろうと思ったのです。下位の101号室は焼き払いました。そして上位生命体――皆さんを夢から指導する「星の落とし子」への入口を見つけたのです。 私はあるとき、夢を見ました。そこで私は異形の者になっていました。そして気づきました。 「それ」です。名前を呼ぶことのできない生物。ヒトを喰らうことで「ヒトラシキ」へと変化させるもの。実はこれが上位の構造へアクセスする鍵だったのです。 さて国や水族館が研究していたヒトラシキとは何だったのか。それはヒトが「星の落とし子」へと変化していく段階なのです。 しかし、ただ喰われただけでは「星の落とし子」へとなりえません。ヒトラシキとなり、古代人の儀式が行われていたある場所に長い間いなければなりません。 ただそうして生まれた現在の「それ」は全て不完全体です。時々夢に出て影響することしかできないケモノです。私なら常に夢に出られる。皆さんの無意識と繋がり、野性に引きずりこまれず知能を持ったまま「それ」――というよりも「星の落とし子」になれる! 私はこれから深海で「それ」に喰われヒトラシキになります。やがて私だったヒトラシキは「星の落とし子」へと変化します。どのくらい時間がかかるかわかりません。勘ですが十数年もあとだと思っています。 その間、下位の私は身動きできません。「外」の人間にきっと狙われます。奴らは敵です。 そんなに悲しそうな顔をしないでください。私は皆さんが眠ったとき、いつでも会えます。私は復活するのです。私が「星の落とし子」になったら、皆さんも「星の落とし子」になって私に同期してください。 皆さんは私のこどもとして、一生愛していきます。 皆さんは現在下位の世界から見捨てられて寂しいでしょうが、私はどうなっても必ず愛しています。だから安心して入居してください。上位の101号室に。「家主」は部屋を整えてまっています。 マハカメリア宮が目を覚ますと、すぐに部屋に電話がかかってきた。暗い部屋にこだまするベルがぼんやりした頭を躊躇せず叩く。 「ちょっと、本気なの? どうして先に言ってくれないの」 受話器をとるなり蓮田ヒカリが怒鳴った。悲痛さを感じるまでに怒っていた。 「幹部の君を傷つけるためにだよ」 ヒカリにはマハカメリア宮が何を言いたいのかさっぱりわからなかった。 「いいかい、信者を逃がさないためには何が必要だと思う? それは『痛み』『美しい言葉』。私は普段から何も好きこのんで入居者を傷つけてるわけじゃな い。痛みの後に美しい言葉が待つ。それは飴と鞭で奴隷へ調教するように。それはドメスティックバイオレンスの被害者のように、自分たちがいないとこの教祖 はカワイソウだと思わせることさ。必要とされているという思い込みの快楽。私は思い切りぶん殴って凌辱し、終わったら思い切り優しくする。最高だろう」 蓮田ヒカリは言われたいことを言われ、背筋がゾクゾクするのを感じた。なんて自由。それでこそマハカメリア宮だと。 「本当はこの世に、いてくれなければならない人間なんていないんだ。誰だってそうだ。誰かが誰かを必要不可欠だなんていうのは思い込みさ。でもその思い込みが、誰かを楽にさせる。自分で自分に価値を見出だせない馬鹿だけがそれに引っ掛かるんだ」 ヒカリは胸を押さえ、受話器を持ったまま倒れ込んだ。喜びで足の先が痙攣する。 「私は。私はどうなの。どうせ役立たずなんでしょ。リリジョン101にいて何の役にも立たないし。アマーニは英語が話せて、城戸は銃火器を調達できる。私は、私は」 マハカメリア宮は心から笑った。 ――アハハ。こいつ、全然話を聞いてない。面白いな。 「君は必要だよ。必要だから幹部にしてる。私がヒトラシキになっている間、君が指揮をとる」 ヒカリの顔が赤くなった。何も言わずに受話器をおろした。それから頭で何度も再生する。 ――君は必要だよ。必要だから。英語にするとアイニーヂュー。世の中にはこんなにうつくしいことばがあったのだ。 ヒカリの中でそれは一晩中絶え間なく再生され、やがてゲシュタルト崩壊して意味は失われた。
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あのころぼくらは【登録タグ 2008年 MEIKO VOCALOID あ ワンカップP 初音ミク 曲 曲 鏡音リン】 + 目次 目次 歌詞 コメント 作詞:ワンカップP 作曲:ワンカップP 唄:初音ミク・鏡音リン・MEIKO 歌詞 海から来た風 草原を走る 道は続いていく まだ見ぬ町へ 手にした力は 世界を揺るがし 竜の背にまたがり 飛んでゆく 遥か海の底も 彼方の星も 仲間と力をあわせて どこまででも行ける あの頃僕らは小さな窓のぞいて 流れる夢の国そこで生きていた 仕事は山積み いつも焦ってる 空だってしばらく 眺めていない 手にした力じゃ 世界は揺るがず いつも同じ事を 繰り返す 小さな頃の夢 いくつかなった? 思い出そうと考えても 何も浮かばない 今では僕らも大きな夢忘れて 流れる毎日をただ眺めていた 通りの影 気づいた懐かしい光 ピコピコと瞬きながら 僕を呼んでいる まだまだ僕らは小さな窓見つけて 流れる夢の国飛び込んでゆける あの頃僕らは小さな窓のぞいて 流れる夢の国そこで生きていた 少しだけ帰ろうか コメント 物悲しくなったり子供のままでいたいと思ったりとてもいい曲だと思うんだけどな -- 名無しさん (2013-10-06 02 24 57) 名前 コメント
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「今日はどこに行くの?」 道中、華凛にそう尋ねた。よくよく考えたら行き先を聞いていない。華凛はその問いに対する答えをあらかじめ用意していたようだ。すぐに答えが返ってくる。 「あたしと樹羽が初めて一緒に行ったプレイス」 それだけで、これからどこに行くのかがわかった。 私は華凛の手を握ぎり直した。あのときは手を引かれて行ったけど、今度は並んで行きたい。華凛ももう一度確かめるように手を握り返してくれた。 駅前に行き、電車に乗る。そこから歩いて数十分、目的の場所が見えてきた。 夏休みが故に沢山の人で賑わうそこは、一年前に来たばかりの場所。長いレールの上を、猛スピードで駆け抜けるコースターや、大きな観覧車。 私と華凛が初めて一緒に行った場所、それがここ、遊園地だった。 その日は目一杯遊んだ。もう遊び倒した。 定番のジェットコースターや、失神者続出のお化け屋敷。他にも沢山のアトラクションを回った。 樹羽はああ見えて怖がりで、お化け屋敷なんてもうあたしの腕にしがみ付いて大変だった。ジェットコースターも以下同文。 それでも、樹羽は笑ってくれた。あんなに楽しそうに笑う樹羽を、あたしは今まで見たことがなかった。 やっぱり、シリアと樹羽を会わせたのは正解だった。あの子も、あんな風に笑えるようになっていた。あれが、彼女の本当の姿なのだろう。後は、樹羽の頑張り次第ってところかな。 神姫バトルの方でも、樹羽の成長は素晴らしかった。絵美ちゃんに勝ち、東雲に勝ち、楓さんに勝ち、朱野くんにも勝ったと聞く。おまけに宮下さんに斬鉄剣を出させたと聞いた。この半月、よくここまで成長したものだ。それも、シリアがいてこそだろう。 樹羽とシリアは最高のパートナーだ。この二人ならあるいは、もしかしたら大会なんかでも名をはせることが出来るかもしれない。ちょっと高望みし過ぎかな? 樹羽はもう一人で友達を作れるだろう。そこには、あたしが介入する余地なんか無いはずだ。 ああ、もう日が沈んでいく。楽しい時間はいつも急ぎ足で去っていくのだ。 でも、もう大丈夫だ。あたしはもう十分楽しんだ。 だから―― 「今日は楽しかった」 遊園地からの帰り道。私たちは公園を通っていた。既に日は傾き、地平線の彼方に差し掛かっている。 今日はとても楽しかった。ジェットコースターやお化け屋敷は怖かったけど、華凛と一緒だったから楽しかった。 「あたしも楽しかった」 華凛は本当に満足そうに言った。気付けば、その足を止めて笑っていた。 「華凛?」 笑顔でいる華凛の後ろに沈んでいく太陽が映る。その姿は、今にも消えてしまいそうで、とても不安定だった。 「樹羽、周り見て、何か違和感ない?」 華凛が突然そんなことを言い出す。言われた通り周りを見てみたが、木があったり遊具があったり、いたって普通の光景のように思えた。 しかし、そこには何かが足りなかった。本来そこにあるべき、声。子供たちの笑い声が、無いのだ。 子供たちの声だけじゃない。ありとあらゆる声が、消えていたのだ。まるで、この世界には私と華凛しかいないかのように。 「誰も、いない?」 「うん、今のこの世界には、あたしと樹羽しかいないわ」 「……え?」 私と、華凛だけ? 「樹羽、あたし幸せだった。樹羽に出会えて、樹羽の親友になれて、一杯遊べて、幸せだったの」 「華凛?」 「だから……」 華凛は独白するように呟いた後、とびきりの笑顔を浮かべた。 「もう、満足」 次の瞬間、世界から色が消えた。 緑が一杯だった木からも、真っ赤に染まった町並みからも、私と華凛以外の色が消えてしまったのだ。 それだけではない。太陽があった場所。そこからまるで崩れるように漆黒が、闇が、無が広がっていった。これは、真夏の雪なんかよりも異常な事態だった。 なのに、華凛は笑ったまま動かない。 「何……どういうことなの華凛っ」 華凛は私の問いに静かに答えた。その存在感は、かなり希薄なものになっていた。 「ここはね、あたしのわがままで出来た世界なの」 「わがまま……?」 「そう、樹羽が一人でもちゃんと友達が作れるようにって言うあたしの願いで出来た世界。言わば講習期間とでも言うのかな?」 華凛が言った言葉は、私には理解出来なかった。まるで、小説のような話。華凛から伝えられた真実は、とても信じられる内容ではなかった。 今日、8月1日に華凛の家は炎に包まれた。原因はわからない。問題は、華凛は逃げ遅れてしまったと言うこと。 「周りは炎だらけでね、煙吸っちゃって倒れたのよ。で、薄れていく意識の中、あたしは自分のことより、暗い部屋で独りぼっちの親友のことを心配したって訳」 華凛は自重気味に笑う。そんな状況になってまで、私のことを? 華凛の話は続く。それは、今日と言う日から、華凛が久しぶりに私の元に現れた7月1日までの話。 そして、今日に至るまでの話だった。 炎に包まれながら、あたしは樹羽のことを想った。あの子の繋がりはあたしだけ。あたしが死んじゃったら、樹羽はもう二度と立ち上がれないかもしれない。だから、あたし以外の繋がりを見付けてあげなければいけなかった。 あたしは叫んだの。心の中で。 そしたら、何かが応えてくれた。それは段々と膨れ上がっていって、あたしを飲み込んだ。 気が付いたらあたしは立っていた。もう過ぎ去ってしまったはずの7月1日に。 そこであたしは理解した。この世界がどんな世界なのか。どんなことを目的として創られたのか。 これから、何をすればいいのか。 あたしは真っ先に樹羽に会いにいった。元の世界ではしなかったことを、あたしはこの世界でやった。 樹羽に、あたし以外の繋がりを作ってもらうために。 その手段として、あたしは神姫を選んだ。一番伝え易かったし、一番の近道だった。放って置くわけにはいかない訳ありの神姫を樹羽に託すことで、樹羽の成長を促した。 あたしの思惑通り、樹羽はどんどん人と繋がっていった。 そして、何の問題もなく、今日と言う日を向かえた。 雪が降っていた。積もることの無い世界の終わりを告げる雪は、世界を白く染めていく。 今語られた内容は、とても頭に入ってはこなかった。だが、この現状を説明するには十分だったのかもしれない。 つまり、この世界は私の知る世界ではない。 信じられない、なんて言っている暇はない。既に地平線の彼方、そして空から世界の終わりが近付いているのだ。 「最後に樹羽と話したくて、周りの人消してさ、やっと時間作って、あと何話せばいいのか、わからないや」 華凛は笑っている。困った様に、それでも笑っている。 「この世界は、消えるの?」 「でしょうね、あと数分ってところかしら」 「華凛も、消えるの?」 「元々死にかけだったしね。消えるって表現であってるかも」 「……それはもう、どうにもならないの?」 「……ならないわ、残念だけど」 華凛はまるで他人事の様に淡々と、そして笑っている。 「なんで……笑っていられるの?」 「……だって、笑ってなきゃ、樹羽が安心して前に進めないじゃない」 華凛は笑い続けている。そんな顔を見ていたら、痛々しくて、見ていられなくなる。 怖いわけがない。この世界の消滅=死、なのだ。 なのに、華凛は私のためを思って、必死になって自分の想いを押し殺している。 「かり……」 「来ちゃダメ」 私は駆け出そうとした。それを、華凛に止められる。 「樹羽は前に進まないといけないの。私の分まで、ちゃんと進んで」 「華凛……」 私はその場に蹲って泣いた。親友を救うことができない自分が、情けなかった。すぐ目の前にいるのに。手を伸ばせば、届きそうなのに。 何もできない自分が、惨めだった。 「嫌……嫌だよ……」 想いがとめどなく溢れる。それは決してどうしようもないことなのに。言っても、華凛を困らせるだけなのに。 「もっと……もっと華凛と一緒にいたいよ……もっと華凛と話しがしたいよ……もっと……もっと……」 視界が涙で歪む。拭っても拭っても、涙は涙腺から溢れてくる。 「……まったく、最後まで世話がかかるわね」 「だって……だってぇ……」 「あのねぇ……」 気付けば華凛はまたハンカチを差し出していた。顔をあげれば、そこには華凛の顔がある。 涙でくしゃくしゃになった華凛の顔が。 「あたしだって……あたしだって樹羽ともっと一緒にいたいのよ! もっと沢山話したいのよ! なのに何で死ななきゃいけないの! ワケわかんないわよ! 理不尽よこんなの!!」 押さえていた感情が、漏れ出すを通り越して溢れ出す。一度に大量の感情が吐き出され、後はすすり泣く声が辺りに響いた。 「華凛……」 「……もう、時間よ」 落ち着きを取り戻した華凛が言う。気付けば黒と白はすぐそこまで迫っていた。 私は、前に進まないといけない。ここで消えてしまう華凛の分まで、しっかりと。 「……私は、泣いてちゃだめだよね? 前に、進まなくちゃ、だめなんだよね?」 「そうよ、元の世界であたしがいないからって、死んだりしたら許さないから」 その時、意識が遠くなるのを感じた。世界が消える時が来たのだ。 もう一度華凛の顔が見たくて、顔をあげた。私は何かを言った。口は開いたが、何を言ったのか、自分でもわからない。華凛は最後ににっこりと笑った。 「ありがとう、樹羽。さよなら」 その言葉だけが、意識の闇の中に響きわたった。 「あ……」 暗い部屋で、私は一人目が覚めた。一ヶ月はカーテンを閉めきったままの真っ暗な部屋。そこは、私が歩んできた、外と切り離された世界だった。 体を起こす。埃っぽい机の上にある時計の日付には、こう書かれていた。 8月1日(月) 戻ってきたのだ、私は。華凛のいない世界へ。 「うっ……」 また視界が歪んだ。華凛はもう、いない。もう二度と、会えない。 もう二度と、声を聞くことすらできない。 声をあげて泣いた。小さな子供のように、大声で泣いた。布団に顔を埋めて、泣いた。涙が枯れてしまうまで、私は泣いた。 やがて涙は枯れてきた。私は、前に進まないといけない。華凛の分まで、歩いていかないといけない。 それが、親友の最後の願いだから。 「前に……進むんだ……」 私は自分のベッドから出た。一ヶ月まともに動いていなかったため、それだけでも大変な作業だった。 私は部屋の扉の前に立った。その取っ手に手をかける。 一人でも、歩いてみせる。華凛の願いを、叶えてみせる。 私は、部屋の扉をゆっくりと開けた。 第十二話の2へ 引きこもりと神姫 Fin? トップへ戻る
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あすたしあ【登録タグ あ いるーP 巡音ルカ 曲 銀歌スバル 銀歌リュウセイ】 作詞:いるーP 作曲:いるーP 編曲:いるーP 唄:銀歌スバル・銀歌リュウセイ・巡音ルカ 曲紹介 いろいろあるけれど明日に向かって頑張っていこうか。 歌詞 僕達には明日が見えない それでもただ前へ進めとか 自分勝手 何にも知らない 嘘吐きでも人としていてよ 何気なく誰かを傷つけて 気にしないで笑っていられる それが全ての答えに見えて繋がるから もう忘れたいよ 終わりの言葉で光を振り切る闇を呼んだ いつもの景色がじんわり淀んで風が通り抜けていく 目を瞑ってもね どうせ変わらない その奥にもまだ壁があるのかな だけど だけれども この手は止めない 恋だ何だとかあるけど いつもの僕は僕で 何かを創るよ さよならは言わず 一歩踏み出せば 一人の裏道 影追い 走るその先に 道が開かれて 僕らは一つになるのさ 分からなくて迷ったりしても それでも今前へ進めれば 自分宛てに言葉を送って 本当のこと知らせてあげるよ なんとなくも繋がりは傍に 広がってく合いの手の中の 夢と触れて気持ちが変わった 忘れないよ 時は止まらない 始めの言葉で光を呼び込む力を得た いつもの景色がぼんやり霞んで風が背中を押してる 目を瞑りながら きっと変えたいとただ思うことで少し楽になる だから だからかな 手を止めたくない 愛を胸の中に秘めて いつもの僕は僕で 何かを創るよ さよならは言わず 一歩踏み出せば 意識は影を越えた 駆ける心全てを重ねて 満たされない言葉束ねる 結局気分次第で僕達 笑えるような余裕はあるのさ 行こうよ明日へ いつも通りの日々でも…! おやすみ (ピアプロのページより転載) コメント 名前 コメント
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ぐむるすぶ カテゴリ:文化系 キチガイ系 規定に書かれてることを極端に解釈し、行動する思想。 簡単にいうとマニュアル主義者もすくは機械人間。 規定で何かをしてはならないというものを現代に置き換えて、それも禁止することがある。 例えば、日本ではつい最近(2013頃)までインターネットを活用した選挙運動は禁止だった。 が、それ実は厳密に異なり、公職選挙法ではインターネットで選挙活動してはならないとは書いておらず、書いてないことだからしてもいいことになる。 しかし、原理主義者だったとむ、選挙法は結構厳しい規定が多いので、その中ん、いずれかを適用し、事実上インターネット活用は選挙法違反だった。 で、ネット選挙が解禁する法整備が施行され、インターネット活用の自由化がされた反面、候補者を偽ることや、なぜか知らんが「応援しましょうコール」などができなくなるなど制約が付いてきたおおおおお。 さて、原理主義というものは解釈と御都合主義で出来ているのがわかっただなど。 イスラム原理主義 イスラム教は基本的に「ラマダンの断食、豚や酒を摂取しない、露出は極力少なくする」の原則でそれ以外は自由である。 イスラムにはスンニ派とシーア派の2大派閥があり、イスラム教は原則、偶像崇拝が禁じられてるため銅像がなかったり、顔写真がなかったりる、開祖・ムハンマドの顔すら隠することが多い。マネキンですら頭がないからねぇ。 一方で、シーア派は開祖・ムハンマドの子孫である指導者の顔を掲げたり、結構寛容なほうである。 こうみと、スンニ派のが原理主義者に近い思想である。ただ、開祖の跡継者は開祖の親戚か他人であるかの違いであるのに・・・ インドネシアはイスラム教徒が多い国であるが、政府直属の地元警察とは別に宗教警察がおり、味の素の調味料に豚由来の成分が入ってたとして現地にいる関係者を逮捕した。逮捕したのは政府直属でなく、宗教警察である、のちにと大統領が調査し、調味料には豚由来成分が入ってないという結果になり解決した。 このようにイスラム教徒は成分にまでこだわるということだ。これん、原理主義入門編である。 ちなみに何らかのパーティーでイスラム教徒が招かれても宗教上の理由でワインとかがジュースか水、紅茶になったり、豚入り料理が別の料理に変わったりと、最悪何もパーティだけ楽しんで他人が美味しそうに食べてるよこで食べたそうな眼差したくなるのは無理もない。 トンコツラーメンとか食ってる横で食べ終わるのジッと待つだけってねぇ? 人にもよるけど豚を食べるのは抵抗あるんだろうね。豚食ったやつを見下すやつがいたり、軽蔑したりとな! ただ豚や酒を食べないだけでなく、基本的に彼らはハラール認証を表示した食品を無抵抗で食べるだろう。調理法や材料となる肉の処理方法まで決められており、なるべく苦しまないようにという規定があるっぽい。 タリバンがアフガニスタンを統治したころ、映画や漫画は偶像崇拝になるから没収され、捨て焼られ、^堅苦しい生活が続いた。でもタリバンが政権とって治安が改善したのは公然の秘密?もはや漏れてるよ。 イスラム過激派というものいるが、実はあれも原理主義を掲げてるのかなと思われる民族だん。彼らは必要とアラバ殺戮を繰り返してるが、理由は「自分達を守るため」としてる。このため、同じイスラム教徒からは「人間のクズ」「カス」「恥さらし」などと揶揄される。なお、イスラム原理主義者とイスラム過激派は切り離して見なしていただきたい。 原理主義者も迷惑だが、過激派はもっと迷惑である。 キリスト原理主義 キリスト教には離婚の概念がない。そのため、キリスト教を国教とするフィリピンやトンガではキリスト教に順ずる法律が存在し、離婚できない。一方で、裁判所を仲裁に結婚取り消しということができるものの中々容易でないらしく、結婚したまま別のやつと結婚した場合、浮気となり、通姦罪に処されるらしい。*で、トンガでは安息の日がありと、その日は労働は禁止であるのだが、何故かスポーツなど運動も労働と見なされるので事実上外出禁止、外出する人はいないことになってるん。宿泊客はホテルに滞在できるがホテルから外に出ることができない。こっそり外出してもまずトンガは島国で、海上を走る国際列車はないし、国際船や国際飛行は動かないため、その日だけ島*閉じ込められることになるん。 で、【トリビア】:トンガではスポーツゥしていた人を警察官が逮捕し、翌日、その逮捕した警察官も労働したとして逮捕された。 【補足】そもそも安息の日なのに働けないことは警察官は知ってるはずなのにこのざまである。 ユダヤ原理主義 ユダヤ教の教えを極端に信仰する思想だ。例えばユダヤ教には断食期があり、その間は異宗教者と一緒にいられなかったり、モノが飲み食いできなかったり、労働すらせず、ただ暗い部屋の中でジッとするだけの、もはや我慢大会である。 その中で電気を点消することが労働とされるのでよ、これは昔は火を点けることすら労働だったが、それを現代に置き換え、電気を付けたり消したりすることが労働になってしまう。このように置き換えや、それに辻褄が合う禁止規定を別件で適用によって全く無関係なことが禁止になってしまうんだとふ。 ちなみに食品は(OK)表示の食品を無抵抗で食べます。 著作権原理主義 著作権と言う権力を持ち上げ、規定をゴリ押しする迷惑な思想。詳しくは該当項目を参考。 関 ウィキペディア化以外全部、空リンク。 マニュアル 規定 堅苦しい ウィキペディア化
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暗い部屋に一人、PCの画面を見つめる狐顔の男と画面に映る男がいた。 その部屋はまるで学校のようで、PCは教壇の上に、生徒達の座る机を見るように置かれ、その最前列に狐顔の男は座っていた。 「それでは、時間跳躍を始める前に授業を始めようか、稲荷崎」 「先生、それ時間跳躍前にやる話なん?もう過去の話は大体調べ終わってるし、どう動くかも粗方決めとるんやけど…」 「必要はある、聞いておきたまえ──」 「時間というのは三つの言葉で表される、一つは過去、二つ目に現代、最後に未来だ、この内の過去と現代については説明する必要も無いだろう…今回の話で重要なのは未来だ。 では、未来とは何か?これを知るには未来予知というファンタジーな能力が必要となるが、多くの人間はこの未来予知を可能としている…例えば、コイントスにおいて最初に表を向け、力を一定量調整して弾くことで特定の回数回転させ狙った面を出す……これも未来予知の一つであるが、これは正確には知識と経験と技術で構築された未来予測でしかなく、人間はこの予測する力で時に未来を予知するのだ──」 「だが、この予知はあくまで予測であり絶対では無い、限りなく予知に近い領域まで辿りついた人間が昔いたが、それも昔の話だとも… ここでいう未来予知は、漫画などにある決して変えることの出来ない絶対の未来予知を指すものとしよう、そしてこれが存在するのであれば、既に未来は決まっていて、変えることが出来ない運命ということになる…となると、だ。 時間というのは生まれてから死ぬまでの行動が全て記された一つの動画データということになる、そしてこれは人だけでなく世界にも同じことが言える──」 「……なら、ウチが過去に行く意味無くないか?未来は既に決まっていて、それなのに過去に行っても何も変わらんのやろ? 未来の自分が過去の自分に話しかけようとしても、話しかけてる未来の自分にその記憶が無いってことは、それは失敗するって決まっとるようなもんやろ?」 「流石だな稲荷崎、その通り、既に完成している動画データを後から改竄することは出来ない、これを俺は"歴史の修正力"と呼んでいる、異世界からの侵入者を排除し、イレギュラーの辻褄を合わせて本来の歴史を維持する為の防衛機能が存在する。 つまり我々の世界は既にどうにもならないということだ、何もしなくても未来は決まっている……が、歴史の修正にも限界は存在し、対処が可能だ。 一つ、時間干渉能力、これは言わば"世界に認識されない"能力だ、これを持つ人間は時間を超えても侵入者として認識されない、世界から排除される対象とならない。 二つ、その時間にその人間がいないこと、時間干渉能力はデータは存在するが一覧に乗ってない状態と言っても良い、しかし存在する以上検索は可能だ、それを回避するにはその時代に同一人物が存在してはならない、同じ名前に複数のデータが存在するならば世界は時間干渉能力者を認識できてしまう。 三つ、大量のイレギュラーを発生させる、人に関しては回避可能だ、しかし物はそうはいかない、アニマギアを持ち込む以上それは修正対象となり排除される…だが、異物を排除するには大きな力が必要となる、故に物量で処理落ちを促しその機能を制限させるという対処を取る…先程も言ったが世界はイレギュラーに対し辻褄を合わせようとする、排除出来ないならばそれを使えなくすることで影響を減らすがそれも他のイレギュラーと重ねることで対応出来ないレベルまで持ち込んでやれば良い──」 「……世界がフリーズするんか?そうなったら無法地帯になるってことか…」 「そう上手くはいかないだろう、世界は維持でも辻褄を合わせに来る…問題だ、修正できないレベルで破壊された動画データを元に戻すにはどうする?」 「…………バックアップがあると仮定するならバックアップを読み込む…けど、それが出来るなら最初からやる筈や…同じ理由で削除もしないなら、新しく作るわな…壊れたデータを別にして元データと分けて作る…壊れたデータを平行世界として新しく動画データを作れば解決や」 「正解だ、平行世界として新しくデータを作るならば、そこまでのデータを元にして未来を作成し別の世界として処理させれば良い、後は世界の方が辻褄を合わせてくれるさ」 「なるほど…つまりウチらの最初の行動はそこやな、先ずは世界のシステムを壊して、それから先生の命令を果たせばええわけや」 「その通りだ、では今日の授業を終わろう、では健闘を祈る────」 そうして一人でに切れるPCの画面を眺めながら狐顔の男は呟く、変わらぬ笑顔で── 「馬鹿らし、アンタの目的は何や…世界以外に何が欲しいんよ」
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時代構成 創世代 天界繁栄の時代 第一人類繁栄の時代 第一次終焉期 第二人類繁栄の時代 第二次終焉期 創世代 次元・宇宙・惑星・世界。 その全ては二柱の創世神によって生みだされた創造物だった。 一柱をソリウス。もう一柱の片割れをリードゥス。 その二柱は全ての世界の根幹となる物を作り上げ、創世を齎した。 だが、その生み出した創造物、その全ての支配を望んでしまった創世神の片割れリードゥスは、もう一人の創世神を葬ろうと画策。しかしその目論みはソリウスには通じず、ソリウスの前に敗北したリードゥスは失墜してしまった。 零落したリードゥスの肉体はやがて魔界と呼ばれる場所を生み出す。 そして最も深く、リードゥスの亡骸に近い場所は奈落の炉心という《淀み》の溜まる場所となった。そして魔界は悪魔と呼ばれる者たちがリードゥスの骸から溢れる魔力より産まれ、悪魔の世界として繁栄していくことになる。 そして、リードゥスとの戦いを制したソリウスもまた、繁栄を齎していく。 天界繁栄の時代 戦いを制したソリウスは、自らの力、大権を分け新たな存在を生み出した。それこそが現在、大いなる力を持つ《神格》と呼ばれる者達である。 生み出された神格達は、ソリウスの指示の元で自らに与えられた大権を用い、ソリウスが作り出した神格の国天界を繁栄させていった。 その最中で、ソリウスは自身の限界を鑑みて、幾柱かの神格達を生み出した。 そのうちの一柱は、後に神々の英雄として伝承されることになる神格が【聖神王:アイシャ】。 アイシャはソリウスの実の娘として扱われ、正統な指導者という使命を受けた。 その一方で、ソリウスはさらに四柱の大いなる力を持つ神格を生み出した。 中でも、一際力を与えられたのはソリウスの次代……つまりは転生体にあたる女神【慈母神:アドリアナ】である。 アイシャが天界を治めるその一方で、アドリアナらは天界に様々な新生命を齎した。 それこそが天使と神獣だ。 アドリアナによって生み出された原初の天使は《神祖使徒:アポルトス》と呼ばれ、神獣は《神祖獣》と呼ばれる。 また、アポルトスの御子は後にアイシャの右腕とされる最高の熾天使【熾天始祖:セラ】とされる。 そして、神祖獣の御子たる《聖天馬:グレイシャ》はアイシャの神獣として名を残している。 第一人類繁栄の時代 天界は繁栄を迎え、大いなる発展を遂げた。 そんな中でアドリアナは全く新たな生命を生み出すことを決める。その新たな生命こそが《人》であった。 神と似通った姿を持ちながら、天界では無い新天地にて生きる生命。それらを生み出すという試みは、全ての神の御身を震わせた。 しかし、いきなり産み落とすのではなく、アドリアナは《人》が地上で神格のように文明発展を行えるように、《人》の概念をまず定着させることにした。 そうして、神の肉を切り分け、生み出された原初たる《人》こそが【人祖:アダム】と【人祖:イブ】である。二人は後に、《人王》として第一人類の象徴になる存在だった。アドリアナは二人の人祖を我が子のように丁寧に育て、様々なことを教えた。 しかしそれを妨害する存在が現れる。 その存在とはリードゥスの亡骸に残る大権から生まれた存在達だ。 初めに生まれたのは《蛇》と呼ばれる、生命に罪を齎す凶兆の存在だった。《蛇》は後に大罪として定められる《九つの概念》を創り、それを力として凝縮した。そして《蛇》はその内の《色欲》の力を分け《リリス》と呼ばれる存在を生み出したのだ。 《蛇》はリリスに天界にいる人祖アダムを唆すように命じる。しかし愛によってイブと心から繋がっていたアダムに彼女の誘惑を通じなかった。 失敗してしまったリリスは天界を守る天使からの怒りを買い、耳と声を奪われた後に呪いを受け下界へと堕ちることになる。 次に《蛇》は自身で人祖を落とすことを決め、自ら天界に侵入した。そして《蛇》はアドリアナの持つ禁断の果実と言われていた《全知の果実》を口にするよう唆したのだ。 全知の果実は、二人の人祖の抑え込まれていた大いなる力を解放させ、神にも並び立つ知恵を授けた。 しかし、人という別種の生命が神格に並び立つ知恵を得た事は神の意にそぐわず、二人はアドリアナの擁護を押し切り罰を与えられることになる。 肉が削げ、血が湧き出る程の拷問を受けた二人。 そして、驚くことに流れ落ちた血肉が形を成し赤子が産まれたのだ。アダムとイブの血肉から生まれた三人目の《人》の概念だった。 神々はこれに大層驚き、同時にこれを利用することにした。神々はアダムとイブを許し、《人》が生きるべき大地《人界》に肉体を治して産み落とした。 そして、アダムとイブの罪は三人目の《人》の一身に背負わせ、それを《原罪者》と呼んだ。 神々は《原罪者》を殺すことで、人の過ちを無くそうと考えた。しかしそれをアドリアナは停めた。 過ちがあるからこそ生命とは成長する、リードゥスの時のように、と。 故に猶予を与えられ、アドリアナはこの原罪者に《人》を守る為の術とその役目を与えようとした。実際、その目論見は成功だったが、上手く行き過ぎたことが仇となる。 いくら《人》という生命を守るためとはいえど、その力はあまりにも強大すぎると神格達に不安を与えてしまったのだ。 その危険性によりアドリアナは今度こそ許しを得られず原罪者は《人》の決して立ち入らぬ禁域とされた霊峰へと封じられた。 また、人祖に罪を齎した《蛇》は力を得て《蛇王》に昇華し、その身を人界のどこかに隠してしまった。 その一方で《人》は神々に許された存在として繁栄していく。その時代、《人》は現在の人類からは考えられない力を保有していた。 ある者達は世界から《世界》を切り取り自分達の《国》として発展を遂げ、ある者達は神の良き隣人として叡智を発展させた。 《人》の発展はやがて世界そのものの仕組みにも作用し、新たなる存在を生み出す。それこそが高次知性体と呼ばれる、人界においてその知恵と神秘を果てまで突き詰めた存在だ。発展とともに、知恵と神秘等概念的な物が収束し無から産まれた高次知性体を《純粋種》。《人》が高次知性体に昇華した存在が《昇華体》と呼称される。 この様に人の発展により、人界は多くの進歩を遂げた。 だが発展が終焉がある。 第一の人類繁栄は後に終わりを迎える。 第一次終焉期 人界の発展と共に、魔界には悪魔が多く生まれその数を増やしていた。 だが、そんな中で《蛇》以来のリードゥスに関わる存在が再び現れる。それがリードゥスの転生体たる次代【魔神王:エクス】だった。エクスは魔界の悪魔を惨殺することでその力を研ぎ澄ませ、その配下を生み出した。 そして、リードゥスの憎しみを憶えているエクスは天界を崩壊に導く為に宣戦布告する。その宣戦布告とは人界の《人》を殲滅する事だった。 これにより、世界を切り取り別空間で営みを続けていた《人》を除き人類は絶滅する事になる。 これが第一次終焉期である。 人類が絶滅に追い込まれたことにより、天界には激震が走った。間もなくしてエクスは天界にも攻め込むだろうと。 それ故に、神を統べる王アイシャは立ち上がり、真っ向からエクスと戦うことを決意する。 そうして始まった大戦を《聖魔戦争》呼ぶ。 聖魔戦争の末、エクスら魔神王陣営は死滅し、聖神王陣営も大きな傷を負うことになった。さらに、天地揺るがすこと大戦争は多くの次元そのものに影響を与えたという。 これにより多くの次元に影響を与えた戦争が巻き起こった世界を《原点世界》。そして原点世界を複製した世界《並行世界》が産まれることになる。 並行世界は聖魔戦争の後に生まれた世界に当たるが、並行世界それぞれに、原点世界の定礎化された時間軸の修正力が働いた。この修正力によって、並行世界でも聖魔戦争以前の歴史があったもの(・・・・・)として扱われるように。更には、時間の流れのズレや差異こそあれど概ねは原点世界と同じ時間の流れを辿るように修正力が働くようになっている。 また大戦争の余波により次元と次元を隔てる壁が不安定になり、より密接な繋がりを産むようになった。よって本来なら繋がりえない世界との接続が可能になってしまった事もひとつの爪痕である。 天界も無傷では済まず、多くの神格が死に絶えた。 生きて勝ち抜いたアイシャもエクスから受けた傷が致命傷となり、数年後には崩御した。 しかし、アドリアナとその兄弟姉妹。更には、ソリウスによって初期の頃に生み出された力ある神格達は生き残っていたという。その為、生き残った神格達によって第二の時代が生み出されることになる。 だがそこで誤算だったのが、天界の状況は新たに人類をもう一度生み出し直す余力もないほどに弱っていた。 かと言って、神格達の手でもどこにあるかたどり着けない空間に生きる生き残り達を探すことも困難である。 その為、神格達は一つの選択をとった。 その選択とは、封印した原罪者から新たな人類を生み出すことだった。 第二人類繁栄の時代 人類を再び繁栄させるべく、アドリアナは霊峰に封じられた原罪者を目覚めさせた。目覚めた原罪者はアドリアナに事情を告げられる。そして彼女は今までの非礼を深く詫び、その血肉をもって《人》の繁栄の為に力を借りたいと原罪者に懇願した。 アドリアナに恩がある原罪者はその頼みを聞き入れ、彼女に自身の血肉を預けたのだ。その後自由を手に入れた原罪者は、霊峰の森林に篭もり長い長い時を生きていた。 長い時の中で原罪者は封印以前から磨いてきた力をさらに覚醒させたという。それは人の営みから外れた禁域より人類を見守る術、人類を滅びの運命より救う術だった。 やがて、原罪者はその功によって人々から崇め称えられる人類の守護者《人王》としての地位を得たのだ。 こうして人類は人王の守護の元に再び繁栄の時を迎える。 第一の人類に比べると、第二の人類は幾分か神秘の力が衰えていた。しかし、それが気にならないほどの発展力は衰えてはいない。在り方の変容を挙げるならば、神の良き隣人ではなく、神の信奉者としての立ち位置に収まったことだろう。 無論、信奉の対象は神だけではなく、大いなる自然や人の域から外れた存在も人類に崇め称えられる対象だった。 つまり、人類は隣人としての共存ではなく信仰による共存にその思考が変化したのである。 一方、天界でも生き残った僅かな神達の手で新たな時代が築かれていた。その聖魔戦争を生き抜いた神々は《古の神》と呼ばれ、第二の時代の指導者として君臨する。 慈母神アドリアナも、蒼穹天神ケイオヌスという伴侶を得て幾柱もの子を成したという。 こうして、天界もまた繁栄の時を迎えていた。 しかし、第二の時代もある陰謀によって終焉を迎えようとしていた。 第二次終焉期 終焉の始まりはアドリアナの死が契機となっている。 アドリアナの子らの中でも次兄である【裁定神:ファトゥム】は、第二人類の起源について神々に異議を唱えた。 リードゥスの遺骸から発生した全ての罪の権化《蛇》より齎された、原罪の化身にも等しい原罪者。それから産まれた生命は神が創った世界において毒でしかない。故に今の人類、その全てを神の支配下に置き律する必要があると。 ファトゥムはそう唱えたのだ。この彼の提唱により天界は大きく三つの派閥に別れることになる。 一つはファトゥムの提唱した《支配派》 一つはアドリアナの唱える人間は神の手には管理されず、昔のような共存を唱える《共存派》 そしてもう一つは、ケイオヌスの掲げる必要に応じ間引きあとは好きにさせておくという《中立派》だった。 天界が三つに分断された事により、策謀や陰謀が渦巻く混沌とした時がしばしの間続いたと言う。 しかし、ある時に事態が大きく急変した。 それが共存派の神格がケイオヌスを殺害したというものであった。これに激怒した神々は共存派の筆頭であるアドリアナを大きく責めたてたのだ。しかし彼女を擁護する神々の声も大きく最終的には武力による衝突を引き起こした。 この衝突により大敗したアドリアナらは力を失い、失墜してしまう。特にアドリアナへの罰は大きく、その肉体をズタズタに引き裂いて、奈落にその亡骸を捨てたのだ。 これにより共存派の筆頭はアドリアナの長女である【神秘女神:イレイナ】が、中立派の筆頭は長兄の【天空神:オルド】が引き継いだ。二つの派閥そのものが潰えることはなかったものの、一度筆頭が変わってしまった二つに比べ支配派の力は強まっていた。 だが、ここで更に事件が起こる。 奈落の炉心に渦巻く淀みが、オルドと彼が使役していた十二の大神獣を汚染。汚染されたことによりオルドは魔神化、大神獣も大魔獣へと変貌してしまう。 そして、オルドはその魔神化した邪悪なる思想の元に人類を一掃し世界を無に還すべく大戦争を開戦したのだった。 この戦争こそが第二人類崩壊の原因にして 現代に生きる人類の転換点となった大聖戦 《神魔終焉聖戦》である。
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満開の桜の樹の下にお前を見つけた。 暖かな陽射しの中で、頬をそれこそ桜色に染めて愛しそうに花を眺める姿は 今の俺には眩しすぎて、どうしても声を掛ける事が出来なかった。 2人で過ごしたあの日々は当たり前の様に続くもんだと思ってた。だけどいつしか ちょっとしたすれ違いが重なり続けて、今度は互いの時間が溶け合う事なく過ぎて ゆくのが現実となっていった。 あの後次の桜の季節を迎えて真っ先に思い出したのは、ひょんな事から花が咲き 乱れる樹々の下を遠くまでひたすら車を走らせたあの時。元気でいるだろうか?と 彼を思い出す時、その側で一緒に笑ってた大人ぶった生意気なお前を想っては 何故か胸が締付けられた。 あの時の様にばったり出会う事を心のどこかで望んでいたその事実に今更気付いて しまったみたいだ。あれからまた再びやって来たこの季節、瞳に映るお前は真新しい 制服と伸びた背丈と肩までの髪……。対して俺は少々くたびれたスーツ姿。そんな どうでもいい事がちょっと気になって、益々ためらってしまった。 ずうっときらきらした瞳で桜を眺めるお前が眩しくて、その姿が愛しくて 邪魔をしてはいけない気がして、黙って踵を返した。 何か、俺らしくないかも。だけど俺みたいのがあんなまだ子供の女の子周りを うろついてたらやっぱり良くないから……いや、本当はそんなの言い訳で、怖いの かもしれない。 また出会っても、またあの時の様に離れてしまう日が来るかも……。そしたら 今度こそ二度と2人の運命が重なり合う時間は戻って来ないかもしれない。 俺は、それがちょっと怖いんだ。今でも部屋にいたら階段を昇る足音が聞こえて、 ドアを開けてお前が飛び込んで来るのを心のどこかで待っていたんだ。 それがなくなってしまった今、あの地蔵堂の店もあの2人も、2人で走り回った あの日々も、そして……お前すらも夢だったんじゃないかと、1人の部屋で切なく 想う日々を過ごしてる。 多分、これは恋じゃない。もしそうならあの人の時の様になりふり構わずお前に 会いに行っただろう。今だって声を掛けただろう。俺はそういう奴だから。 好きならそれでいい。その気持ちが一番大切な筈じゃないか……。そうだ、そうだよ。 でも、なんかすっきりしないような、もやもやした胸焼けがするような感じに似た この気持ちは何なんだろう。 「きゃあっ!」 背中を向けて歩き出した途端、ぶわあっ!と強い風が舞った。それと同時に小さな 悲鳴が上がった。 思わず振向いてそこに見えたものは、舞い上がる花びらに彩られた白いセーラー服。 俺の姿に気付かずスカートの裾を押さえながら反対側へ立ち去ろうとしたのを見た 瞬間、 「……ニコーー!!」 お前が驚いて振向くのと同時に、思わず叫んで俺は走り出していた。 あれからずっと2年前のドラマの録画を今でも時々観ていた。何度も何度も、 同じシーンばかりを。 あの日々を忘れてしまうのが怖くて、心のどこかで終わった遊びの時間を…… ニコを取り戻したくて、何度も、何度もその姿を頭の中で、心の奥のデッキで再生 し続けて来た。 「ニコ……」 舞い散る花吹雪の中で、まるでそのまま吸い込まれて消えてしまうんじゃないかと、 そこにいるのが幻じゃないのを確かめる様にひたすら名前を呼んだ。 多分、恋なんかじゃない……事はないのかもしれないけど、今はまだ答えを急がない。 現実に追い付くのが精一杯で、そこに存在するお前が俺にとって何事にも替え難い 胸の奥で咲き続ける大輪の花である事実を認めるのがやっと 出来そうだから。 もしかしたら今が、2人の時間が再び重なり合う運命の瞬間かもしれない。それは 考えていたよりずっと早くにやって来たけど、戸惑っている暇はないんだ。 あの時のお前の姿をテレビの中に閉じ込めて、眺めては過ぎた日をまた密かに 夢見ていた。 『続かないって知ってるから』 『時間が止まればいいと思う』 あの時の俺にはわからなかったあの人の言葉の意味が、今の自分には痛い程わかる。 もしもうずっと出会えずにこれからの日々を過ごすのなら、こうしてあの時のあの 瞬間を止めておいておけるなら、と、テレビの明かりだけが光る暗い部屋で1人 リモコンの一時停止ボタンを眺めながら、それでも毎日仕事して、ご飯を食べて、 ロボットと一緒の生活を繰り返す。生きて行くために。 いつかきっと、自分らしく堂々と生きていれば、何年掛かってもまたお前が俺を 見つけてくれるだろうか? そう……思いながら。 「見つけた……」 画面の中の、俺の思い出の中の女の子の面影はそのままに、確実に大人になりつつ ある。 今手放したら、二度とこの次という時はないかもしれない。後になって後悔する のは嫌だと思った正直な気持ち。それが俺を走らせる。 「ニコ……」 その手を今度こそ強く握り締めて、離さないようにしたいと強く想う。 きっと今が、運命の瞬間。 「……ロボ!?」 戸惑いながらも笑顔を返してくれる、お前がそこにいるから。 **終**